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空き家管理2026.08.17 (月)

空き家の火災保険は入れない?必要性と実家の注意点

空き家の火災保険は「入れない」のではなく、住宅扱いから外れ条件が変わることがあります。放火リスクや失火責任法から必要性を解説し、実家が空き家になったら保険会社へ連絡すべき理由をまとめました。

空き家の火災保険は入れない?必要性と実家の注意点

結論: 空き家の火災保険は「入れない」と決まっているわけではありませんが、人が住まなくなると 住宅扱い(住宅物件)から外れて条件や保険料が変わることがあります。放火は全国の出火原因の上位で、空き家は特に狙われやすいこと、失火責任法により もらい火は自分の保険で備えるしかないことから、保険の見直しは重要です。ただし保険はあくまで「起きた後」の備え。放火や侵入といった リスクそのものを下げるには、防犯・巡回といった管理とセットで考えるのが安心です。加入の可否や補償内容の判断は、加入中の保険会社・代理店にご確認ください。

空き家でも火災保険は必要か

結論から言えば、空き家でも火災保険の必要性は高いといえます。誰も住んでいないのだから火事は起きないだろう、と考えるのは危険です。むしろ 管理されていない空き家ほど、放火の標的になりやすいからです。

総務省消防庁の統計によると、令和5年(2023年)中の総出火件数38,672件のうち、放火は2,495件(全火災の6.5%)、これに「放火の疑い」を加えると **4,111件(全火災の10.6%)**にのぼります。出火原因としては上位に位置し続けている項目です。人の目が届かず、周囲に燃えやすいものが放置されがちな空き家は、放火犯にとって狙いやすい対象になってしまいます。

火災は自分の家が燃えて終わり、ではありません。隣家への延焼で近隣に被害を及ぼす可能性があり、そうなれば所有者としての立場も問われかねません。「空き家だから保険は解約してしまった」という状態は、こうしたリスクに無防備になることを意味します。

なお、放火を防ぐための具体的な対策は空き家の防犯対策|不法侵入・放火・盗難を防ぐ方法で詳しく解説しています。本記事では、保険と法的責任の側面に絞ってお伝えします。

空き家になると「住宅」扱いでなくなることがある

火災保険を考えるうえで押さえておきたいのが、建物の使われ方によって保険上の区分が変わるという点です。

一般に、火災保険では人が住むための建物を「住宅物件」、店舗や事務所など住居以外の用途を「一般物件」といった区分で扱います。人が住まなくなった空き家は、この住宅物件の前提から外れ、一般物件など別の扱いになることがあるとされています。

これによって起こりうるのが、次のようなケースです。

  • 契約の条件が変わる — 補償の範囲や保険料が、住んでいたときと同じではなくなることがある
  • 新規加入が難しくなる — 建物の劣化が進んでいる、長期間の空き家であるといった状態によっては、加入を断られたり条件が付いたりすることがある

ただし、どの区分になるか、加入できるかどうか、条件がどう変わるかは 保険会社・商品によって扱いが異なります。ここでは一般的な仕組みの紹介にとどめます。具体的な可否や条件の判断は、必ず加入中の保険会社・代理店にご確認ください。 当所は保険の募集・仲介を行う立場ではないため、個別の商品比較やおすすめはいたしかねます。

実家が空き家になったら保険会社に連絡を

親御さんが亡くなったり施設に入られたりして、実家が空き家になった——このとき見落とされがちなのが、火災保険への連絡です。

火災保険は「その建物にどう住み、どう使っているか」を前提に契約されています。契約者が亡くなって相続が発生した場合や、住んでいた家が空き家になった場合には、その事実を保険会社へ 通知・連絡することが求められるのが一般的です。これは告知や通知義務と呼ばれるもので、契約の内容を実態に合わせて維持するための仕組みです。

この連絡を怠ると、どうなるのでしょうか。実態と契約内容がずれたまま火災などが起きた場合、想定していたとおりに保険金が支払われないおそれがあります。せっかく保険料を払い続けていたのに、いざというときに役に立たない——そんな事態を避けるためにも、実家が空き家になったら、まずは加入中の保険会社に現状を伝え、契約内容を確認しておきましょう。

こうした手続きは、相続にともなう名義の整理とも関わってきます。相続や名義の具体的な手続きは司法書士・専門家の領域になりますが、「空き家になった事実を保険会社に伝える」こと自体は、相続人がすぐにできる大切な一歩です。

失火責任法と「もらい火」

もうひとつ、空き家の火災で知っておきたいのが「失火責任法」(失火ノ責任ニ関スル法律・明治32年)という古くからある法律です。

通常、他人に損害を与えれば賠償責任を負うのが原則(民法709条)です。しかし失火責任法は、火災については、失火した人に「重大な過失」がない限り、民法709条の賠償責任を適用しないと定めています。つまり——

  • 隣家の失火で自分の空き家が燃えても、相手に 重大な過失がなければ、原則として損害賠償を求められない
  • 逆に、自分の家からの失火で隣家に延焼させても、重大な過失がなければ賠償責任を負わないとされる

ここが重要なポイントです。「隣からのもらい火」は、相手に賠償を求められないことが多い。だからこそ、もらい火による自分の建物の被害は、自分自身が加入している火災保険で備えるしかないのです。「うちが燃えても悪いのは火を出した隣だから」とはいかない、という構造をぜひ覚えておいてください。

なお、失火責任法の適用や「重大な過失」の判断は、個別の事情によって結論が変わる法律問題です。具体的な事案の判断は弁護士等の専門家の領域であり、当所が法律相談をお受けするものではありません。ここでは一般的な仕組みの紹介にとどめます。

保険だけでは守れない:管理とセットで考える

ここまで見てきたとおり、火災保険は空き家の備えとして欠かせません。しかし忘れてはならないのは、保険は「火事が起きた後」の金銭的な備えだということです。放火されて建物が失われれば、思い出の詰まった実家は戻ってきません。近隣に迷惑をかける事態も、お金だけでは解決しないものです。

だからこそ、リスクそのものを下げる「管理」とセットで考えることが大切です。前述のとおり空き家は放火の標的になりやすいのですが、これは裏を返せば、「管理されている=人の気配がある」と外から分からせることで、放火や侵入のリスクを下げられるということです。

具体的には、次のような管理が放火リスクの低減に直結します。

  • 郵便物を溜めない・庭を手入れする — 「放置された空き家」だと一目で分からせない
  • 家の周りに燃えやすいものを置かない — 段ボール・古新聞・枯れ草・灯油などを片付ける
  • 定期的に人が訪れる状態をつくる — 巡回点検で「見られている空き家」にする

管理の基本については空き家管理の基本|放置するとどうなる?、遠方から管理する方法は遠方から空き家を管理する方法にまとめています。

また、管理が難しく、活用の予定もない場合は、売却して手放すことも空き家リスクを根本から無くす選択肢のひとつです。放置して特定空家に指定されると固定資産税が上がるリスクもあわせて考えると、早めに方針を決めておくと安心です。

県外にお住まいの方へ

「実家は香川にあるが、自分は県外に住んでいて頻繁には帰れない」——そんな方こそ、火災保険と管理の両輪を意識していただきたいと思います。遠方だと、放火や侵入の異変にすぐ気づけず、保険の連絡や見直しも後回しになりがちだからです。

当所では、県外にお住まいの方でも 一度も現地に来ることなく売却まで進められる形をご用意しています。詳しくは香川の実家を現地に行かず売却する流れをご覧ください。売却まではまだ考えていないという方も、まずは遠方管理で「管理されている空き家」の状態を保つところから始められます。

まとめ

空き家の火災保険と法的責任について、要点を整理します。

  • 空き家の火災保険は一律に「入れない」わけではないが、住宅扱いから外れて条件・保険料が変わることがある
  • 放火は全国の出火原因の上位(令和5年:放火と疑いで4,111件・全火災の10.6%)で、空き家は特に狙われやすい
  • 実家が空き家になったら、まず保険会社へ連絡・確認を。怠ると想定どおり支払われないおそれがある
  • 失火責任法により もらい火は自分の保険で備えるしかない
  • 保険は「起きた後」の備え。放火・侵入のリスクは防犯・巡回といった管理で下げるのが安心
  • ※加入の可否・補償内容の判断は保険会社・代理店へ。当所は保険の募集・仲介や法律・税務・登記の相談をお受けする立場ではありません

よしもと空き家相談所では、高松市を中心に、宅建士・空き家管理士1級の資格を持つ代表が空き家の巡回点検を行い、郵便物の整理・施錠確認・外周チェック・写真付きレポートで「管理されている空き家」の状態を保つお手伝いをしています。管理プランの内容は空き家管理サービスのページをご覧ください。

「保険はこのままでいいのか不安」「遠方でなかなか見に行けない」「いずれ売却も考えたい」——どんなご相談でも構いません。まずはお問い合わせからお気軽にご連絡ください。お電話(080-3649-4616・土日祝もOK)やLINEでのご相談も受け付けています。

よくある質問

Q.空き家は火災保険に入れないのですか?

A.一律に入れないわけではありません。ただし人が住まなくなった家は「住宅物件」ではなく「一般物件」として扱われることがあり、契約の条件や保険料が変わったり、建物の状態によっては新規加入が難しくなるケースがあります。加入の可否や条件は保険会社・代理店によって異なるため、必ず個別にご確認ください。

Q.空き家でも火災保険は必要ですか?

A.必要性は高いといえます。空き家は放火の標的になりやすく、放火(その疑いを含む)は全国の出火原因の上位を占めています。また失火責任法により、隣家からのもらい火は原則として相手に賠償を求められず、自分の保険で備えるしかありません。火災は延焼で近隣に被害を及ぼす可能性もあるため、補償の見直しをおすすめします。

Q.実家が空き家になったら何をすればいいですか?

A.まずは加入中の火災保険の内容と、空き家になったことを保険会社へ連絡・確認することが大切です。住んでいた前提の契約のままだと、いざというときに想定どおり支払われないおそれがあります。あわせて放火や侵入を防ぐための管理(郵便物の整理・巡回・施錠確認)を始めると、リスクそのものを下げられます。


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吉本光輝
吉本 光輝
KC合同会社 代表 / 宅地建物取引士 / 空き家管理士1級

香川県高松市を中心に、空き家の売却・管理をお手伝いしています。空き家再生事業にも取り組んでおり、建物の状態を見る目と売主様の立場に立った提案が強みです。

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