結論: 郊外の倉庫・作業場(事業用物件)の出口は「貸す・売る」の2択が中心です。判断の軸は3つ——「5年後に自分で使う見込みがあるか」「毎年の維持費を払い続けられるか」「現況のまま人に貸せる状態か」。使う予定がなく維持費が負担なら売る、当面手放したくない・立地が資材置き場や貸し倉庫に向くなら貸すが有力です。ただし倉庫・作業場は用途地域によって使える業種が変わるため、まず物件がどの用途地域・どんな接道条件かを確認し、その上で「貸す・売る」を同時に査定してもらうのが遠回りのない進め方です。
「親が営んでいた鉄工所の作業場を相続したが、自分は県外に住んでいて使う予定がない」「幹線道路沿いに古い倉庫が残っているが、どうするのが正解かわからない」——郊外の事業用物件について、こうした相談が増えています。この記事では、住宅とは市場も規制も異なる倉庫・工場・作業場の出口を、「貸す」と「売る」に分けて中立に整理します。個別物件の価格・賃料は現況を見ないと判断できないため断定はしませんが、考え方の道筋はお伝えできます。
郊外の倉庫・作業場が「余る」背景
高松市の郊外には、かつて事業に使われていた倉庫・工場・作業場が数多く残っています。町工場・鉄工所・農機具や資材の保管庫・運送業の車庫などが代表例で、事業の廃業や世代交代、相続をきっかけに使われないまま残るケースが目立ちます。
住宅と違って事業用の建物は「次に住む人」がいないため、放っておくと用途が宙に浮きやすいのが特徴です。しかも建物を保有している以上、固定資産税・都市計画税・火災保険・修繕費は毎年かかり続けます。屋根の折板やシャッター、雨樋は屋外環境にさらされて傷みが早く、放置すると資産価値が落ちるだけでなく、台風時の飛散や不法投棄・不法侵入のリスクも抱えます。
一方で、事業用物件には住宅にはない強みもあります。広い床面積・高い天井・大型車が入る間口・まとまった敷地は、業種によっては住宅より使い道が広い。だからこそ「貸す・売る」を早めに天秤にかけることに意味があります。
「貸す」という選択肢
手放さずに収益化したい、将来また自分で使うかもしれない——そんな場合は「貸す」が候補になります。事業用物件には次のような貸し方があります。
現況のまま貸す(居抜き・現況渡し)
倉庫や作業場は、内装をつくり込んだ住宅ほど原状の作り込みがないため、現況のまま貸せるケースが少なくありません。前の事業者が残した棚・作業台・動力設備をそのまま活かせれば、借り手は初期投資を抑えられ、貸し手も改修費をかけずに募集できます。誰が使うかによって必要な状態は変わるため、「どこまで直せば貸せるか」は物件ごとの見極めが必要です。
資材置き場・車庫・ヤードとして貸す
建物がかなり傷んでいても、敷地そのものに需要があるのが郊外の事業用物件の強みです。建設業の資材置き場、重機・車両の駐車スペース、コンテナ設置用地といった「屋根がなくても成立する」使い方は、幹線道路沿いや広い間口の敷地と相性が良い用途です。建物を解体して更地で貸すか、建物を残したまま一部を活用するかは、解体費と見込み賃料のバランスで考えます。
貸し倉庫・保管スペースとしての需要
まとまった床面積は、在庫・什器・季節用品などの保管ニーズに向きます。屋内で雨風をしのげる空間そのものに価値があるため、内装のグレードよりも「広さ・高さ・搬入のしやすさ・駐車スペース」が評価されやすいのが住宅賃貸との違いです。
事業用賃貸の仲介手数料の考え方
事業用(非居住用)物件を貸す場合の媒介報酬は、昭和45年建設省告示第1552号に基づき、貸主・借主から受け取れる合計が借賃の1ヶ月分+消費税以内と定められています。居住用と異なり、事業用は合計1ヶ月以内であれば配分は自由です。入居者が決まるまで仲介料は発生しません。なお「5年後には自分で使いたい」「状態次第で売却に切り替えたい」という場合は、契約期間の満了で確定的に終了する定期建物賃貸借(借地借家法38条) の活用も検討に値します(書面契約と事前説明書面が要件です)。
事業用物件の賃貸はテナント募集ページからもご相談いただけます。店舗を含む事業用物件の貸し方・出口の考え方は店舗付き住宅を相続したら——貸す・売る・住むの選び方もあわせてご覧ください。

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「売る」という選択肢
使う予定がなく維持費の負担が重いなら、「売る」が現実的です。売り方は大きく2通りあります。
現況(建物付き)のまま売る
まず検討したいのが、建物を残したまま売り出す方法です。倉庫・作業場を探している事業者にとって、使える建物が建っていること自体が価値になる場合があります。解体費を売れる前に負担せずに済む点、建物が建っている間は用途によって税負担が変わりにくい点もメリットです。買い手は「そのまま使いたい事業者」「敷地目的の購入者」など住宅とは異なる層になります。
解体して更地で売る
建物の傷みが激しく再利用が難しい場合や、敷地の広さ・形を見せたほうが売りやすい場合は、解体して更地で売る選択肢があります。ただし更地化には解体費がかかるうえ、住宅用地ではない事業用地でも建物撤去後は土地の使い方や評価が変わることがあります。解体は後からでもできますが、建てた建物は元に戻せません。 まず現況のまま査定を受け、売れる見込みと価格帯を確認してから解体を判断する順番なら、大きな失敗を避けやすくなります。古家付き・更地それぞれの損得の考え方は古家付き土地のまま売る?解体して更地で売る?判断基準で詳しく解説しています。

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「買取」を持ちかけられたら
なお、当社は仲介専門で買取は行いません。買取業者による買い取り価格は市場相場の6〜8割が目安とされ、早さと引き換えに手取りが下がりやすいのが一般的です。「早く現金化したい」という理由で買取業者に持ち込む前に、まずは仲介で「貸す・売る」の両にらみで査定を受け、条件を比べてから決めることをおすすめします。
貸す vs 売る——中立に比較する
どちらが正解かは物件と事情によりますが、判断材料を並べると次のように整理できます。
| 比較項目 | 貸す | 売る |
|---|---|---|
| 手元に入るお金 | 毎月の賃料(継続収入) | 売却代金(一括) |
| 所有権 | 残る(将来また使える) | 手放す |
| 維持費・固定資産税 | 貸主が負担し続ける | 引き渡し後は不要になる |
| 初期の手間・費用 | 貸せる状態への最低限の整備 | 現況査定→(必要なら)解体 |
| 向いている人 | 将来使う可能性がある/手放したくない | 使う予定がなく維持費が負担 |
| 郊外物件の強み | 資材置き場・貸し倉庫など敷地需要を活かせる | 事業者・敷地目的の買い手に届く |
| 主な注意点 | 借り手の業種と用途地域の適合 | 解体費の先出し・更地化後の税負担 |
一つの目安として、次の3問で方向性が見えてきます。
- Q1. 5年後に自分や家族がその場所を使う可能性はありますか? ある→貸して残す/ない→売る方向で検討
- Q2. 毎年の維持費(固定資産税・修繕費など)を払い続けられますか? 払える→保有しながらじっくり/負担が重い→収益化か売却を急ぐ
- Q3. 現況のまま人に貸せる・売れる状態ですか? 状態が良い→貸す・現況売りが選べる/傷みが激しい→改修・解体費を見積もってから判断
事前に確認すべき点——用途地域・接道・農地
倉庫・作業場は「建物があるかどうか」以上に、その土地でどんな業種が使えるかが出口を左右します。動く前に次の3点を確認しておくと、話が早く進みます。
① 用途地域——使える業種・建てられる建物が変わる
都市計画法に基づく用途地域は全国で13種類あり、地域ごとに建てられる建物の用途が決められています(国土交通省)。倉庫・工場・作業場との関係を大づかみに言うと、次のとおりです。
- 工業専用地域・工業地域 — どんな工場でも建てられる地域(工業専用地域は住宅が建てられません)
- 準工業地域 — 環境悪化が大きい工場を除き、工場・倉庫を含めてほとんどの用途が建てられる
- 住居系の地域(第一種・第二種住居地域、準住居地域など) — 作業場・倉庫でも床面積や作業内容(危険物・騒音など)に制限があり、業種によっては新たに建てられない・使えない場合がある
つまり、同じ「倉庫を貸したい・売りたい」でも、その土地が工業系か住居系かで、想定できる借り手・買い手の業種が変わります。自分の物件がどの用途地域にあるかは、高松市の地図情報システム**「たかまっぷ」** でインターネット確認できるほか、高松市 都市計画課(本庁舎9階・電話087-839-2455)で確認できます。用途地域の証明が必要な場合は申請が必要です(2026年1月1日以降、FAX・メールでの問い合わせは受付を終了しています)。
② 接道条件——建て替え・大型車の出入り
建物を建て替える前提で売買・活用を考える場合、接道が壁になることがあります。建築基準法では、建築物の敷地は原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないとされ、条件を満たさない土地は再建築が難しくなります。加えて事業用物件では、トラックや重機が無理なく出入りできる間口・道路幅かどうかも実務上の評価を左右します。前面道路の扱いは高松市 建築指導課(本庁舎9階・電話087-839-2488)で調査を相談できます。
③ 農地の上の作業場・農地転用
「田畑の一角に建てた農機具小屋や作業場」を売る・貸す場合は、農地法の確認が欠かせません。農地を農地以外の目的で使う前提で権利を移転するには、原則として農地法5条の許可(市街化区域内は農業委員会への届出)が必要です(農林水産省)。資材置き場のような一時的な利用でも転用手続きの対象になります。区域によって手続きは大きく異なり、市街化区域は届出、市街化調整区域は知事許可、農振農用地は原則転用不可です。窓口は高松市農業委員会(本庁舎12階・電話087-839-2662)。相続した農地まわりの出口全体は相続した農地が売れない理由と5つの出口で解説しています。なお転用申請の手続きそのものは行政書士の業務です。該当しそうな場合は事前に専門家へご相談ください。
香川の郊外・車社会だからこその需要
香川県は全国でも有数の車社会です。この地域特性は、郊外の倉庫・作業場の出口を考えるうえで追い風になります。
- 幹線道路沿いの立地 — 大型車が入りやすい国道・県道沿いの倉庫は、運送・建設・卸売など「車で運ぶ」業種と相性が良い
- 広い駐車スペース・ヤード — 香川では来客用・作業用の駐車スペースがほぼ必須。まとまった敷地はそれ自体が価値になる
- 資材置き場・車庫需要 — 建物が古くても、屋根のいらない使い方(資材・重機・コンテナの置き場)なら敷地の広さと接道で勝負できる
住宅の賃貸では「ことでん沿線・JR駅近・スーパーや病院が近い」ことが重視されますが、事業用の倉庫・作業場は評価軸がまったく違います。駅から遠くても、幹線道路に面していて広い敷地がある——それが郊外の事業用物件の強みです。だからこそ「住宅として見ると価値が低い」物件でも、事業用として見ると需要がある、という逆転が起こります。
県外にお住まいの方へ
「香川に倉庫や作業場があるが、自分は県外に住んでいて現地を見に行けない」というオーナーも多くいらっしゃいます。よしもと空き家相談所では、来県ゼロで初動を進める対応が可能です。
- LINE写真確認 — 建物・敷地・前面道路の写真をLINEでお送りいただくだけで、現況の把握と初期的なアドバイスができます
- IT重説(電子化した重要事項説明) — 賃貸・売却いずれもオンラインで対応
- 契約書の郵送対応 — 書類のやりとりは郵送で完結します
- 現地対応の代行 — 内覧の立ち会いなど現地での対応はすべて当所が代行します
来県ゼロで進める具体的な流れは県外から香川の不動産を活用・売却する方法をご覧ください。使っていない間の建物の傷みが心配な場合は、巡回・状況報告のご相談も承ります(管理サービスはワンコインプラン月500円から)。
参考資料・情報確認日
- 国土交通省 近畿地方整備局「用途地域」(13種類と用途制限の解説)(2026年8月20日確認)
- 高松市「用途地域について」(たかまっぷ・都市計画課の案内)(2026年8月20日確認。都市計画課 本庁舎9階・087-839-2455)
- 農林水産省「農業振興地域制度及び農地転用許可制度」(2026年8月20日確認。農地法4条・5条の転用許可制度)
- 昭和45年建設省告示第1552号(宅地建物取引業者の報酬の額)(2026年7月6日確認)
- 借地借家法38条(定期建物賃貸借)(2026年7月6日確認)
- 高松市 建築指導課(前面道路の調査窓口/本庁舎9階・087-839-2488)、高松市農業委員会(本庁舎12階・087-839-2662)(2026年7月確認)
まとめ
郊外の倉庫・作業場の出口は「貸す・売る」が中心で、決め手は「5年後に使うか」「維持費を払い続けられるか」「現況で貸せる・売れる状態か」の3点です。住宅とは市場も規制も異なり、用途地域によって使える業種が変わること、幹線道路沿い・広い敷地といった車社会の香川ならではの需要があることが、住宅とは違う判断ポイントになります。
「使う予定がない」「維持費が負担になっている」場合は、早めに動くほど選択肢が広がります。まだ迷っている段階でも、現況確認のご相談は費用がかかりません。倉庫・作業場を「貸したらいくらか・売れるか」を同時に見立てて、中立にご提案します。お問い合わせフォームまたはLINEからお気軽にご連絡ください。
※用途地域・接道・農地の取り扱いや価格・賃料は個別条件により異なります。本記事は2026年9月時点の一般的な情報です。





