市街化調整区域の家や土地は「売れない」と検索されがちですが、結論から言うと売却は可能です。ただし全国的には建築制限や住宅ローンの付きにくさで買い手が限られ、価格やスピードで不利になりやすいのは事実です。そして香川にお住まいの実家・土地をお持ちの方には、もう一つ大事な前提があります。香川県は平成16年に全県で線引き(区域区分)を廃止しており、香川県内には市街化調整区域そのものが存在しません。
つまり「香川の実家が調整区域だから売れない」という思い込みは、現在の香川では当てはまらないことがほとんどです。とはいえ土地の状態や区域は個別の確認が必要です。「訳あり物件 高価買取」といった広告に急いで手放す前に、まず区域を確かめ、仲介で相場を知ることをおすすめします。当所は仲介専門で、買取は行っていません。
市街化調整区域とは
市街化調整区域は、都市計画法にもとづく「区域区分(線引き)」で定められる区域のひとつです。都市計画区域を、**市街化を進める「市街化区域」**と、**市街化を抑制する「市街化調整区域」**に分けるしくみで、これを通称「線引き」と呼びます。
都市計画法7条は、市街化区域を「すでに市街地になっている区域や、おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を進めるべき区域」と定めています。一方、市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」と定められています。
市街化調整区域は、無秩序な開発を防いで農地や自然環境を守ることを目的とした区域です。そのため、原則として新たな建物を自由に建てられず、住宅地として開発・分譲することにも制限がかかります。これが「売れにくい」と言われるおおもとの理由です。
なぜ「売れにくい」と言われるのか
市街化調整区域の不動産が敬遠されるのは、次のような制限が重なるためです(いずれも全国的な一般論です)。
① 開発・建築が原則制限される
市街化調整区域では、土地の区画形質を変える開発行為に都道府県知事の許可(開発許可/都市計画法29条)が必要です。また、開発許可を受けた土地以外で建物を新築・改築したり用途を変えたりする場合にも、許可が必要とされています(同法43条)。誰でも自由に家を建てたり用途を変えたりできるわけではありません。
② 再建築や用途変更のハードルが高い
今ある建物を建て替えたい、住宅を店舗や倉庫に変えたいといった場合も、区域の制限にかかることがあります。買い手にとっては「買っても思うように使えないかもしれない」というリスクになります。
③ 住宅ローンが付きにくい
金融機関は担保価値を厳しく見るため、市街化調整区域の物件は住宅ローンの審査が通りにくい傾向があります。結果として現金で買える人が中心になり、買い手の数そのものが細ります。
④ 買い手が限られる
以上が重なり、買主は「その土地を現況のまま使える人」や「例外要件を満たして建てられる人」に絞られます。買い手が少ないほど、価格も時間も不利になりやすいというわけです。

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香川県には市街化調整区域がありません(高松の重要な前提)
ここが、香川の不動産を考えるうえで見落とされがちな最重要ポイントです。
香川県は平成16年(2004年)5月に、区域区分(線引き)を全県で廃止しました。これにより県内の市街化区域・市街化調整区域は廃止され、用途地域(地域ごとに建てられる建物の種類や大きさを定めるルール)または用途白地地域(用途地域が定められていない地域)へと置き換わっています。全国的にも珍しい、県全域での線引き廃止です。
つまり、現在の香川県内には「市街化調整区域」という区域は存在しません。「香川の実家が調整区域だから建て替えられない・売れない」と心配されている方の多くは、この事実を知らないまま身構えているケースが少なくありません。線引き廃止後は、かつて市街化調整区域だった土地でも建築の制限が大きく緩和されています。
ただし「調整区域がない=何の確認もいらない」という意味ではありません。次の点は個別に確認が必要です。
- 用途地域・用途白地地域ごとの制限:建ぺい率・容積率や建てられる用途の制限は、区域ごとに異なります。
- 土地が農地(田・畑)の場合:農地には農地法の別のルールがかかります。詳しくは農地を相続したけど売れない?をご覧ください。
- 前面道路と再建築の可否:区域とは別に、接道義務(建物の敷地は幅4m以上の道路に2m以上接する必要があるルール)を満たすかどうかで建て替えの可否が決まります(調整区域とは別の論点です)。再建築不可物件は売却できる?で解説しています。
「調整区域だから」と一括りにあきらめる前に、まずご自身の土地が今どの区域で、何が確認事項なのかを整理することが、香川では特に大切です。
それでも「市街化調整区域」の物件を持っている場合
香川県外に相続した不動産がある方や、制度そのものを知っておきたい方のために、本当に市街化調整区域にある物件でも売れるケースを整理します。「調整区域=売れない」ではありません。
- 例外的に建築が認められる要件に当てはまる:都市計画法34条各号や自治体の条例により、農林漁業を営む人の住宅(農家住宅)、線引き前から住んでいた人の親族が建てる分家住宅、指定既存集落内の一定の建築などは、例外的に開発・建築が認められることがあります。こうした要件に合う買い手なら、家を建てる前提で購入できます。
- 現に住める・使える建物がある:すでに適法に建っている家がある場合、そのまま住んだり活用したりできることが多く、「今ある建物を使いたい人」が買い手になります。
- 周辺の農家・現況利用者が買い手になる:近隣で農業を営む人が農地や資材置き場として一体利用したい、隣接地の所有者がまとめて使いたい、といった需要が現実的な買い手層です。
いずれのケースも、その土地で「何ができるか」を正しく見極めたうえで、合う買い手に向けて売り出すことが価格を左右します。可能性を確かめないまま買取に流すのは早計です。
高松市・香川での確認方法
自分の土地が今どの区域なのか、用途地域は何かは、思い込みではなく公的な情報で確認できます。
① まずはオンラインの「たかまっぷ」で調べる
高松市は、用途地域などの都市計画情報をインターネットで確認できる「たかまっぷ」を公開しています。住所や地図から、対象の土地がどの用途地域に含まれるかを大まかに把握できます。
② 判断が難しければ都市計画課へ
土地が区域の境にあるなど判断が難しい場合は、高松市都市計画課(都市整備局・本庁舎9階/電話087-839-2455)に確認できます。用途地域や地区計画などの計画係が窓口です。※高松市以外の香川県内の市町の物件は、その市町の都市計画担当窓口が確認先になります。
③ 手元の書類も手がかりになる
固定資産税の課税明細書には地番や地目が記載されています。地番がわかれば区域や規制の確認がスムーズです。土地が農地(田・畑)の場合は、区域とは別に農業委員会での確認が必要になります。

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「訳あり買取」に急ぐ前に
「市街化調整区域 売れない」と検索すると、「訳あり物件 高価買取」「調整区域も即現金化」といった買取業者の広告が数多く表示されます。すぐに現金化できる手軽さは魅力ですが、注意したい点があります。
買取は業者が転売を前提に買い取るしくみのため、提示される価格は市場相場より下がることが多いのが一般的です。「調整区域だから」「訳ありだから」という前提で査定されると、本来もっと高く売れたはずの土地を安く手放してしまうおそれがあります。とくに香川では、前述のとおり線引きが廃止されているため、「調整区域だから安い」という業者の前提がそもそも当てはまらないこともあります。
だからこそ、買取に返事をする前に、まず仲介でいくらで売れそうかを確かめる価値があります。買取と仲介の違いや使い分けは不動産の買取と仲介はどっちがいい?で、「無料引き取り」をうたう業者の実態は「無料で引き取ります」の落とし穴で整理しています。古家付きのまま売るか更地にするかで迷う場合は古家付き土地のまま売る?更地で売る?も参考になります。
当所は仲介専門で買取は行っていませんが、その土地が今の区域でどう売れるかを見極め、仲介での売り出し方をご提案します。まずは現状を知りたいという方は査定で見られるポイントもあわせてご覧ください。
県外にお住まいの方へ
香川県外にお住まいで、「香川の実家や土地が市街化調整区域かもしれない」「調整区域だと聞いて売れないと思い込んでいる」という方も多くいらっしゃいます。
区域の確認は、現地に行かなくても第一歩を踏み出せます。土地の所在地(住所や地番)と、固定資産税の課税明細書・登記簿などの写真をLINEでお送りいただければ、区域や用途地域の当たりをつけ、売れる見込みをお調べします。役所での区域確認や近隣への打診も、売主が何度も帰省しなくて済むよう段取りします。
遠方から香川の不動産を手放す・活用する方法の全体像は帰省せずに売却を完結する仕組みにまとめています。
参考資料・情報確認日
- 都市計画法(e-Gov法令検索)(デジタル庁・第7条ほか/最終確認日:2026年9月9日)
- 香川県「都市計画の見直し(線引きの廃止)について」(香川県・平成16年5月の区域区分廃止/最終確認日:2026年9月9日)
- 高松市 都市計画課(高松市・本庁舎9階/電話087-839-2455/最終確認日:2026年9月9日)
- 高松市 計画係(用途地域・都市計画情報)(高松市/最終確認日:2026年9月9日)
※区域区分・用途地域や建築の可否、税の取り扱いは土地の個別条件により異なります。本記事は2026年9月時点の一般的な情報です。開発許可・建築確認の申請は建築主・建築士、農地の手続きは行政書士、登記は司法書士の業務です。
「香川の土地が市街化調整区域かもしれず、売れるのか不安」という方は、まず土地の所在地をお知らせください。区域を確認し、仲介で売れる見込みと進め方をご案内します。お問い合わせまたはLINEで「調整区域かもしれない土地があります」とひとことお送りいただければ、宅建士・空き家管理士1級・相続診断士の代表が返答します。査定・ご相談は無料です。






