「売らずに貸す」と決めた空き家(戸建て)は、状態を整え、家賃と条件を決め、仲介会社を通じて募集するという流れで賃貸に出します。人が住めば建物の劣化も抑えられ、毎月の家賃収入も得られます。
この記事は、貸すか売るかを比べる段階を終えて「貸す」と決めた方に向けて、始めるまでの実務手順を順にまとめたものです。県外にお住まいで現地に通えない方も、募集から入居後の対応まで管理委託で回せるため、帰省せずに賃貸を始められます。
賃貸に出す前に決めること
募集を始める前に、次の2点を先に固めておくと、その後の判断がぶれません。
①貸せる状態か:雨漏り・シロアリ・給排水などの基本性能に問題がないか、キッチン・浴室・トイレなどの水回りとエアコン等の設備が使えるかを確認します。長く空き家だった戸建ては、通水や通電を止めていたことで不具合が出ているケースもあります。まずは現状を点検し、貸すために最低限必要な修繕・清掃の範囲を把握します。
②普通借家で貸すか、定期借家で貸すか:契約の型をどちらにするかで、後から自分で使いたくなったときの扱いが大きく変わります。将来自分や家族で使う予定・売る予定があるなら、期間満了で確実に返ってくる定期借家が選択肢になります。詳しくは後述します。
なお「そもそも貸すのが最適か(売却・賃貸・管理保有のどれか)」を比べる段階の方は、空き家の活用方法を比較|売却・賃貸・管理どれが最適?を先にご覧ください。貸した場合と売った場合を天秤にかけたい方は、不動産査定のポイントで売却時の目線も確認できます。本記事は「貸す」と決めた後の実務に絞って解説します。

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賃貸を始めるまでの流れ
戸建てを賃貸に出すときの標準的な流れは、次の5ステップです。
- 状態確認・必要な修繕/クリーニング:現状を点検し、貸すために必要な修繕とハウスクリーニングを行います。フローリングの傷や壁紙の汚れ、水回りの劣化など、内見時の印象を左右する部分を整えます。どこまで直すかは、かけた費用を家賃で回収できるかを見ながら判断します。
- 家賃・条件の設定:近隣で募集・成約している同種物件の家賃を参考に、家賃と募集条件(敷金・礼金・駐車場・ペット可否など)を決めます。相場より高く設定すると空室期間が延びやすいため、早期に決まる家賃帯から検討します。
- 募集(仲介):宅建業者に媒介を依頼し、レインズ(不動産流通標準情報システム)登録やポータルサイト掲載で入居希望者を募集します。
- 入居審査・契約:申し込みが入ったら、入居希望者の審査(収入・保証会社の利用など)を行い、条件がまとまれば賃貸借契約を結びます。ここで普通借家か定期借家かの契約形態を確定します。
- 引き渡し・管理開始:鍵の引き渡しで入居開始です。以降は家賃の集金、設備トラブルの対応、更新・退去時の手続きといった管理業務が続きます。ここを自分で行うか、管理会社に委託するかを決めておきます。
管理を委託する場合の会社選びの視点は、空き家管理サービスの選び方を参考にしてください。
契約形態:普通借家と定期借家
戸建てを貸すときの契約形態は、大きく「普通借家契約」と「定期借家契約」の2つです。将来その家をどうしたいかで選び方が変わります。
普通借家契約(更新できる契約)
一般的な賃貸で使われる契約です。契約期間が満了しても、貸主から更新を拒絶したり解約を申し入れたりするには**「正当事由」が必要**とされています(借地借家法28条)。正当事由の有無は、貸主・借主それぞれが物件を必要とする事情などを総合して判断され、貸主の都合だけで簡単に返してもらえるわけではありません。借主が安定して住める反面、オーナー側は「貸したら当分は返ってこない可能性がある」点を理解しておく必要があります。
定期借家契約(期間満了で終了する契約)
契約で定めた期間が満了すると、更新されずに終了する契約です(借地借家法38条)。オーナー側から見ると、期間が来れば確実に建物が戻ってくるため、将来自分や家族で使う予定がある・数年後に売る予定がある戸建てに向いています。
ただし定期借家には、次の要件があります。
- 書面(電磁的記録を含む)による契約であること
- 契約の前に、貸主が借主に対して「この契約には更新がなく、期間満了で終了する」旨を記載した書面を交付して事前に説明すること
この事前説明を欠くと、定期借家の定めが無効となり、普通借家契約として扱われてしまいます。定期借家で貸すつもりが、手続き不備で「返してもらえない契約」になってしまわないよう、契約実務は仲介会社と進めるのが安全です。
かかる費用と収入の注意
賃貸を始めるときに見込んでおきたい費用と、収入面の注意点です。
- 修繕・リフォーム/ハウスクリーニング費用:貸すために整える初期費用です。金額は物件の状態と直す範囲で大きく変わるため、一律の相場では語れません。見積もりで確認し、家賃で回収できる範囲かを見て判断します。
- 仲介手数料(媒介報酬):入居者が決まったときに仲介会社へ支払う成功報酬です。居住用建物の貸借では、貸主・借主から受け取れる報酬の合計の上限が「借賃の1ヶ月分+消費税」以内と法令で定められています(宅地建物取引業者が受けることができる報酬の額・昭和45年建設省告示第1552号)。居住用では、依頼者の承諾がない限り一方から受け取れるのは0.5ヶ月分までが原則です。募集中に費用は発生せず、決まって初めてかかります。
- 管理委託費用:家賃集金や入居者対応を管理会社に任せる場合の費用です。物件やサービス範囲で変わります。
- 家賃収入と確定申告:家賃収入は不動産所得となり、金額や状況によっては確定申告が必要になる場合があります。所得の計算や税額、申告そのものは税理士の領域です。当所で申告を代行することはできませんので、必要に応じて税理士へご相談いただく前提で、判断材料の整理と専門家への橋渡しまでをお手伝いします。
県外にお住まいの方へ
「香川に実家や空き家があるが、自分は県外に住んでいて現地に通えない」というオーナーは多くいらっしゃいます。賃貸は売却と違い、貸したあとも入居者対応が続くため、遠方だと不安に感じられるかもしれません。
よしもと空き家相談所では、募集・入居希望者への対応・内見の立ち会い・鍵の管理・契約手続き、そして入居後のトラブル一次対応まで、現地で必要な対応をすべて代行します。オーナー様には書類への署名・捺印と必要なご判断だけをしていただければ、帰省せずに賃貸を始めて運営を続けられます。募集が決まるまでの空き期間に建物を良い状態に保つ空き家管理サービス(ワンコイン500円(税込)〜)も、内見時の印象維持に役立ちます。
遠方から香川の物件を活用・処分する方法の全体像は、県外からの売却・活用まとめにまとめています。

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参考資料・情報確認日
- 借地借家法(e-Gov法令検索・28条=正当事由、38条=定期建物賃貸借。最終確認日:2026年7月6日)
- 宅地建物取引業者が受けることができる報酬の額(昭和45年建設省告示第1552号)(国土交通省・最終確認日:2026年7月6日)
貸せる状態かどうか、普通借家と定期借家のどちらが向くか、家賃はいくらで貸せそうか——空き家の所在地と現在の状態をお知らせいただければ、現地確認のうえでご提案します。査定・相談は無料です。お問い合わせまたはLINEからご連絡ください。






